ディレクターとは| 年収や仕事内容、種類やプロデューサーとの違いを解説

転職活動を行っている方の中には、ディレクター職に興味を持っている方も多いのではないでしょうか。この記事では、ディレクターをテーマに、プロデューサーとの違いや年収、仕事内容などについて解説します。

ディレクターに必要なスキルや向いている方の特長、未経験からの転職可能性も紹介しているので参考にしてください。

目次

ディレクターとは

ディレクターとは、指揮者や管理者を示す言葉です。ビジネスシーンではテレビやWebコンテンツなどの制作現場の責任者を指します。

責任者としてプロジェクトを管理し、チームメンバーの指揮をとる役職です。プロジェクトの管理では、スケジュールや進捗状況を把握し、チームメンバーに指示を出して、要求される品質レベル以上のモノが納期までに製作されるようにコントロールします。

企画の提案などを行うこともあり、業務内容は多岐にわたります。ディレクターはクリエイターに含まれる職業です。クリエイターの職種や仕事内容に関する記事を以下に示します。

ディレクターには役職の意味もある

ディレクターは職業ではなく役職を指すこともあり、その場合は部長にあたります。

部長は所属する部署をまとめる役割を持つ役職です。部長の中でもディレクターは上位にあたるニュアンスを含んでいます。イギリスにおいては取締役を指す場合もあるなど、上級の役職としてディレクターという言葉が用いられる場合もあります。

ディレクターとプロデューサーの違い

ディレクターと混同されやすい職業にプロデューサーがありますが、両者は異なります。

ディレクターは現場責任者、プロデューサーは企画やコンテンツ全体の責任者です。つまり、プロデューサーは企画またはコンテンツ全体の指揮、監督をとる職業であり、ディレクターよりも責任範囲が広いとされています。

プロデューサーはディレクターの上司にあたるポジションである総責任者です。プロデューサーは、企画やコンテンツ全体のスケジュールおよび進捗管理、チームリーダーへの指示、企画の立案などの業務を担います。

プロデューサーとディレクターが混同されやすいのは、業界によっては両者が同じ役割を担っていたり、兼務したりする場合があるためです。

ディレクターの年収・給料

ディレクター正社員の平均年収はおよそ431万円です。全体の平均である約445万円を下回るものの、クリエイティブ系職種の平均年収およそ392万円を上回っており、業界内では高い水準にあります。

クリエイティブ系職種はスキルや経験といった個人の業務を遂行する能力によって評価されることが多いですが、ディレクターは組織を管理して目標を達成するといったマネジメント能力が重要な評価項目です。

転職の際には、経験や実績によってマネジメント能力が高いことを示せると、年収のアップが期待できます。

ディレクターの種類と仕事内容

ディレクターは業界によって仕事内容が変わります。ディレクターを目指すなら、業界ごとの種類や仕事内容を把握して、興味のある分野を絞ることが必要です。

Webディレクター

Webディレクターは、Webコンテンツ制作の現場責任者です。

クライアントや自社の担当部署からヒアリングを行い、どのようなWebコンテンツに仕上げるかの詳細を確認し、求められる品質、内容を満たすように、Webデザイナーやライター、エンジニアなどのチームメンバーに指示を出します。スケジュールや進捗管理などのマネジメントも担当業務です。

納品後には、サイトの更新やアクセス解析といった運用・管理から、マーケティングに有効な記事案の提案を行うこともあります。

Webディレクターは利便性の高いサイトデザインや読みやすい記事にするために、コンテンツをチェックする立場にあるため、チェック業務にも対応できるスキルが必要です。

クリエイティブディレクター

クリエイティブディレクターとは、広告制作現場における責任者のことです。

クライアントである広告主の要望や課題についてヒアリングし、目的や課題を共有します。ヒアリングした内容をアートディレクター、デザイナー、コピーライターなどのチームメンバーに伝え、目的や課題を解決する広告をクライアントへ提案します。

具体的なプランが定まり、クライアントと詳細をすり合わせたら広告の制作開始です。制作の指揮はクリエイティブディレクターがとり、スケジュールや進捗の把握、管理を行います。

クリエイティブディレクターは全体をコントロールする立場にあることから、マネジメントスキルに加えて、広告制作に関する幅広い知識が必要です。

アートディレクター

アートディレクターはWebサイトや広告、商品パッケージといった制作物に関する、デザイン全般の責任者です。

クライアントの要望をデザインに落とし込んで具現化する役割を担います。

まずはクライアントに対して制作の目的や抱えている課題をヒアリングします。目的の達成や課題の解決ができるデザイン案をラフなどで提案し、認識をすり合わせておくことが重要です。

打ち合わせで共有ができたら、デザイナーなどのチームメンバーへ指示を出し、制作に入ります。アートディレクターがデザイン全般の責任者であるのに対して、クリエイティブディレクターはクリエイティブ全体の責任者です。

したがって、全体の進捗管理などはクリエイティブディレクターが担い、アートディレクターはデザイン部分の管理を行います。

映像ディレクター

映像ディレクターとは、映像制作の現場責任者です。

担当する範囲はディレクター職の中でも広く、クライアントとの打ち合わせから企画立案、撮影、編集までの全工程に関与します。

自らが制作者として関わることも多く、想像力やデザイン、構成、カメラワークなどの能力が必要です。視聴者へ狙った印象を与えるために効果的な演出を考えることも求められます。

よい映像作品に仕上げるために、出演者のコンディションを引き出すことも必要です。ディレクターとしてマネジメントも行い、ヒアリングの内容を基にカメラマンや編集者などの関係者へ指示を出して制作を進めていきます。納期に間に合わせるためのスケジュール管理なども行わなければなりません。

このように、映像ディレクターは全体を考慮しつつ、制作者としてクリエイティビティを発揮する職業です。

ゲームディレクター

ゲームディレクターは、ゲーム制作現場における責任者です。

企画から制作までのスケジュールや進捗管理を行い、プログラマーやデザイナーなどのチームメンバーの指揮をとります。企画段階のイメージを、実際のゲームとして具現化するために、チームメンバーに対して的確に方向性を伝えることが重要です。

制作が完了したら作品が求めるクオリティに仕上がっているかを確認し、リリースします。リリース後の数値分析などの運用業務も担当範囲です。

直接ゲーム開発を行うことは少ないですが、企画から制作、リリース後の運用まで、ゲームのライフサイクル中の責任を持ちます。

ディレクターに必要なスキル

ディレクターはクライアントが求めるレベルの制作物を納品するために、チームを引っ張っていかなければなりません。そのために必要なスキルを以下に示します。

マネジメントスキル

ディレクターはマネジメントがメインの業務であるため、マネジメントスキルが求められます。

マネジメントスキルとは、人やモノ、時間などを管理して目的を達成する能力です。スケジュールが滞りなく実行されるように、指揮をとらなければなりません。そのためには、スケジュールや進捗をこまめに確認し、調整しながら進めていく必要があります。

マネジメントスキルにはリーダーシップをとることや円滑なコミュニケーションをとることも含まれます。制作現場では予期せぬトラブルが起こることも珍しくありませんが、どんな状況でも適切に対応し、納期に間に合わせなければなりません。

危機管理能力を発揮してトラブルを未然に防止するのはもちろん、トラブルが起きた際には迅速で的確な意思決定を行います。関係各所との細かな調整も行う必要があります。

コミュニケーションスキル

コミュニケーションを円滑に行うスキルは、多くの関係者と調整するディレクターに必須の能力です。

コミュニケーションスキルには、対面での意思疎通や情報伝達をうまく行うことに加えて、チームメンバーが意見をいいやすい雰囲気づくりを行うことも含まれます。

現場の雰囲気が制作物の進捗や品質に影響することもあるため、お互いに協力できる基盤を整えることが必要です。関係者が気持ちよく仕事に取り組めるよう相手に配慮する気遣いも大切です。

クライアントの求める水準の制作物に仕上げるためには、クライアントの意向や方針をチームメンバーに正しく伝達しなければならないので、情報を聞き取る力と伝える能力の両方が求められます。意図が確実に伝わっているか確認することも必要です。

課題解決力

制作現場においては、多くのイレギュラーが発生します。多数の関係者と協力して業務を進めていくため、スケジュール変更や納期遅延などが問題となりがちです。

また、各工程の仕上がりが想定通りにいかなかった場合には、大幅な調整を行うことも考えられます。このような問題が発生したときに、問題の本質を見抜き、解決策をタスクとして設定し、迅速に対応する課題解決能力が必要です。

また、問題が起こることを前提として考え、予防線を張りながら進めると、万が一のときに役立ちます。たとえばチームメンバーが互いの仕事をある程度補完できるように準備しておけば、担当者が不在時の対応が可能です。

このように、不測の事態に備えておくと、課題解決に使える選択肢が広がり、柔軟に対応できます。

ディレクターに向いている人

ディレクターは、制作現場全体を見渡す視野の広さや、物事を客観的に捉える能力を備えた方に向いています。

制作物をイメージ通りに仕上げるためには、チームメンバーへ適切な指示を行わなければなりません。そのために、全体を俯瞰して最善の判断を下したり、スケジュールに無理がないかを確認し適宜調整したりすることが必要です。

制作現場では多くの関係者が業務を行うので、チームメンバー同士の意見の食い違いなど、衝突が起こることも考えられます。そのようなときでも、感情的にならず客観的にアドバイスを行って解決を図れる方に向いています。

チームメンバーの調子やモチベーションも管理し、ベストな状態を引き出す能力も求められます。また、不測の事態への対応や、納期に間に合わせる調整など、プレッシャーのかかる場面が多いことから、ストレスに強いことも適性のひとつです。

ディレクターになる方法|未経験から転職できる?

まったくの未経験でも転職できないことはありませんが、求人数は少ないのが現状です。

ディレクターは制作全体を見渡して管理する業務であるため、企業としてはできるだけ業界に精通した人物を採用したいと考えています。

したがって、基本的には希望する業界で経験を積んでからディレクターを目指すのが望ましくあります。アピールポイントが増えたり、適性を把握したりできることも経験を積むメリットです。

未経験でチャレンジするのであれば、ディレクターに求められるマネジメント能力をアピールすると採用される可能性が上がります。スケジュールや進捗管理、プロジェクト責任者などの経験があれば、ディレクターとしても活躍できる可能性が高いです。

これから未経験の分野に飛び込んでいく際には、熱意ややる気を問われるため、何かしらの成果物を提示することもアピールにつながります。

ディレクターは広範な業界知識とマネジメントスキルが要求される職業です。転職を希望するなら、業界で下積みを経るのが理想です。

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まとめ

クリエイティブ業界の現場責任者であるディレクターは、制作全体を管理する職業です。

スケジュールや進捗状況を把握して、納期に間に合うように調整していきます。関係各所とのやり取りが多いため、コミュニケーションスキルが必要です。また、チームメンバーを導くリーダーシップやマネジメントスキルが要求されます。予期せぬ問題が起こった際には柔軟に対応しなければなりません。

ディレクターの平均年収はクリエイティブ職種の中では高い水準です。未経験での転職は難易度が高いものの、マネジメント経験があれば採用される可能性はあります。

ディレクターは業界によって担当する範囲や業務内容が異なるため、自分の適性にあわせて選ぶことが大切です。

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