転職が不安で怖いのはなぜ？ 主な原因や解消法をケース別に解説

転職は自分を大きく成長させる機会ではありますが、環境面や経済面における相応のリスクが内在しています。しかし、転職を望むのであれば一歩踏み出してリスクを取る勇気が必要です。本記事では、転職に対して不安や恐怖を感じる理由やそれらを解消する方法について解説します。転職を希望している方はぜひ参考にしてください。

目次

• 転職が「不安・怖い」と感じる主な原因
• 転職活動に関する不安の解消法
• 未経験の仕事に転職する不安の解消法
• 転職活動の内定後に関する不安の解消法
• 転職の年齢に関する不安の解消法

転職が「不安・怖い」と感じる主な原因

異業界や異業種への転職を望む方々にとって、環境の変化に対して不安や恐怖を感じることは珍しくありません。人間は未知の体験や現状から逸脱した状況を回避したがる心理作用が備わっており、これを「現状維持バイアス」と呼びます。転職はたった一度しかない人生のキャリアに深い影響を与えるため、自身の選択に対する不確実性から強いストレスを感じることがあります。とくに未経験の業界や職種への転職を希望する場合、その分野における経験や実績が不足していることから、自己有用感の希薄さにつながり、そのまま転職に対する不安や恐怖につながることがあります。

仮に転職を希望する企業から内定を得たとしても、新しい職場の労働環境や人間関係に馴染めるのか、また従来よりも高い年収を確保できるのかという不安が生じます。この現状維持バイアスは年齢を重ねるほど強まり、年齢とともに転職活動に対する不安や恐怖が一層強固になる傾向があります。このように「転職活動に関する不安」「未経験分野に対する不安」「内定後の不安」「年齢への不安」などがストレスとなり、転職に対して強い不安感や恐怖感を抱いてしまうと考えられます。

転職活動に関する不安の解消法

自信を持てるように入念な準備をする

転職活動における不安要素のひとつは自信の希薄さです。日本人の多くは謙虚さを美徳と考えており、自分に対して強い自己有用感を持つことは難しいかもしれません。自分が希望する企業に採用される自信がない場合、転職エージェントの面接練習や履歴書添削などのサービスを活用しましょう。自分の弱点や苦手な分野を客観的な視点から認識することができます。苦手分野の克服に対して能動的に取り組むことで自己の成長が加速し、自己有用感を育む一助となります。

不安を認め、前向きにとらえる

冒頭で述べたように、人間には現状維持バイアスという心理作用を持っており、基本的にはコンフォートゾーンからの逸脱を好みません。これは狩猟採集時代の生き残りを賭けた生物としての生存本能に由来します。したがって、新しいことに挑戦する際に不安や恐怖を感じるのは自然なことであり、それは理想とする未来に向かう通過点といっても過言ではありません。転職に対する不安や恐怖を否定するのではなく、その感情を一歩引いた目線で俯瞰的にとらえ、自分が成長しようとしている証と認識することが大切です。

未経験の仕事に転職する不安の解消法

転職先への疑問をそのままにしない

未経験分野への転職にストレスを感じる理由のひとつは未知に対する不安です。つまり転職を希望する企業の詳細な情報が不足しているため、それが不安や恐怖などのネガティブな感情として現れていると考えられます。たとえば、面接に合格したが配属予定の部署の業務内容に疑問が生じ、一人で心配事を抱え込んでしまうといった場合です。転職活動中に何らかの疑問が生じた場合は、勇気を持って転職希望の企業に確認したり、条件面談の実施を依頼したりすることが必要です。

資格を取得したり、スキルを磨いたりする

異業界や異職種へのキャリアチェンジは経験の希薄さから自分に自信が持てず、同業界、同職種への転職よりも強い恐怖を感じさせます。このような不安感を軽減するためには、資格を取得したり、スキルを磨いたりして自信を育むプロセスが極めて重要です。未経験の業界や職種であっても資格やスキルの取得によって自信が生まれ、キャリアチェンジに対して能動的に取り組めます。

未経験の仕事に転職した事例を知る

キャリアチェンジに対する不安や恐怖を軽減する方法のひとつは、未経験分野への転職事例を学ぶことです。たとえば、口コミサイトは求人票に掲載されていないリアルな情報を収集できるため、転職に対する不安の緩和に役立ちます。また、異業界・異職種への転職に成功した家族や友人に助言を仰ぎ、当時の悩みや対策を聞くのも有効です。ただし、成功事例のすべてが自分にも当てはまるとは限らないため、経験者のアドバイスとして真摯に受け取りながらも情報の取捨選択を意識する必要があります。

転職活動の内定後に関する不安の解消法

合格（内定）していることに自信を持つ

内定ブルーを解消するためには、自分自身が合格していることに自信を持つことが需要です。内定を獲得するまでにクリアした面接や入社試験の成果を認め、自身の成長を自覚しましょう。転職活動において不安や恐怖を乗り越えながら取り組んできた経験は、自信を持つべき実績となります。新しい職場環境や人間関係に対して不安を感じることがあるかもしれませんが、それは現状維持バイアスの作用による自然な感情です。そして、経験不足による失敗は都度改善すればよいと割り切ることで、入社後の不安感を軽減できます。

環境の変化を前向きにとらえる

繰り返し述べているように、人間にとって、変化を恐れるのは非常に自然な心理作用です。しかし、生物でも企業でも変化に順応できないものは、やがて淘汰される運命にあるといっても過言ではありません。進化論を唱えたチャールズ・ダーウィンは「生き残ることのできる生きものは、最も優れた生態能力を持った種族ではなく、環境の変化に順応できる種族である（※1）」との考えを示したとされます。変化と成長に試練はつきものですが、転職の醍醐味として少々の困難も前向きに受け止めることで、内定ブルーを軽減する一助となるでしょう。

（※1）引用元：人生を動かす賢者の名言（p.21）｜池田書店編集部

転職の年齢に関する不安の解消法

30代の場合

30代はさまざまな経験を通して精神的に成熟していく時期であり、環境の変化に対する不安が20代の若年層よりも強くなる傾向があります。しかし、20代の人材が持つポテンシャルよりも、30代の人材が持つ経験値に価値を感じる企業は少なくありません。30代の転職は将来性や成長性よりも経験と能力が重視されるため、現職での実務経験やスキルを生かせる分野であれば、未経験の分野へのキャリアチェンジでも活躍できるでしょう。自己分析を行い、自身の長所や特有のスキルを可視化し、転職を、今後のキャリアプランを考える契機と前向きにとらえることで不安を解消できる可能性が高まります。

40代の場合

40代は現職で相応の立場や待遇を得ている方が多く、20代や30代よりも転職に伴うリスクが増大します。新しい分野の知識や技術を獲得するのは容易ではなく、年下の上司から仕事を教わることもあるかもしれません。プライドの高さから転職に対して拒否反応を示す可能性もあります。年齢が上がるにつれて企業側の採用リスクも高まるため、とくに未経験分野での転職は容易ではありません。しかし、相応のリスクが伴っても、将来的に転職を考えるのであれば、挑戦したい分野において自身の能力を最大限に生かせる領域を見極めることが重要です。

転職において不安や恐怖を感じるのは自然なことですが、そのストレスは現状に甘んじることなく理想に向かって努力している証でもあります。各年代にはそれぞれの強みがありますので、自己分析を通じて自己理解を深めることが重要です。自身の得意分野や苦手領域を具体的な言葉や数値に落とし込み、企業に提供できる付加価値を明確化することで、自信を持って転職に臨むことができるでしょう。

人間は環境の変化や未知の体験を回避したがる現状維持バイアスという心理作用が備わっており、転職やキャリアチェンジに対して不安や恐怖を感じることがあります。主な不安要素としては「転職活動に関する不安」「未経験分野に対する不安」「内定後の不安」「年齢への不安」などが挙げられます。こうした不安を解消するためには、転職が決まるまで現職を続ける、資格やスキルを取得する、環境の変化を前向きにとらえる、年代毎に自分の強みを自覚するといった対策が有効です。また、転職を検討する際は一人で悩みを抱え込まず、信頼できる人や専門家の意見を聞くことが重要です。転職に関して不安がある場合は、転職エージェントの活用を検討してみてはいかがでしょうか。